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インドネシアにおける外国人労働者の雇用契約

Foreign Worker

外国人労働者とは何ですか?

雇用に関する2003年法律第13号(2022年法律第2号に代わる政府規則によって一部改正され、その後2023年法律第6号(「雇用法」)によって批准された)の第1条第13号によると、インドネシア働く外国人労働者は、Tanaga Kerja Asing(「TKA」)と呼ばれ、インドネシアで働く、特定の役割・目的を持った外国籍のビザを持つ人たちと定義付けられます。

今回はインドネシアでの外国人労働者の雇用契約についてまとめました。本記事がみなさまのお役に立てますと幸いです。

インドネシアにおける外国人労働者の雇用は、外国人労働者利用計画(Rencana Penggunaan Tenaga Kerja Asing, “RPTKA”)に規定された所定の期間、特定の役割に限定して雇用されることを条件としています。

外国人労働者が就くことのできる職種は、関係省庁からの意見を参考に大臣が決定しています。さらに、外国人労働者は人事管理[1]に関連する職務に従事することを明確に禁じられており、政府主導で国内労働力を維持しています。

しかしながら、外国人労働者に関する規制が法律と政府規制の両方に組み込まれていながら、インドネシアにおけるTKA雇用は、実務において長年にわたり無数の困難と課題に直面しています。

このような背景を念頭に置きながら、以下にて、インドネシアで外国人労働者を雇用する際に一般的に発生するいくつかの一般的な問題を簡単に概説します。

  1. 雇用契約における外国語

    多くの企業は、顧客のニーズを満たすために必要な国内における人材を見つけることが困難な場合が多く、特定の分野に特化した専門知識を持つ外国人労働者を採用しています。

    採用プロセスを合理化するために、特に外国籍の人材による経営が中心となっている企業では、外国語のみで雇用契約書を作成している企業が多くあります。

    しかしながら、このような外国語のみでの契約書の作成には法的な面でリスクが伴います。

    雇用法第57条では、有期雇用契約書(Perjanjian Kerja Waktu Tertentu, “PKWT”)はインドネシア語で作成されることが規定されており、また、二ヶ国語契約(インドネシア語と外国語の両方で作成された文書)に不一致がある場合は、インドネシア語版が優先されます。一方で、このようなインドネシア語の使用を義務付ける明確な規定があるにも関わらず、順守してない企業が多くあることも事実です。

    しかしながら、外国人労働者を雇用する企業が雇用契約書を作成する際には、入社後の法的な対立や曖昧さを未然に防止、明瞭化する上でも、インドネシア語だけではなく、外国人労働者の母国語を使用することは極めて重要です。

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  2. 外国人労働者の雇用契約の種類

    インドネシアで外国人労働者を雇用する際には、有期雇用契約で(契約社員として)労働契約を結ぶことが必要です。法律上では、外国人労働者は、それぞれの職務に必要な資格を満たすことを条件として、インドネシアにおける所定の期間、特定の職務に就くことのみが許可されているためです。

    現在、外国人労働者の雇用期間は、外国人労働者の業務に関する2021年政府規則第34号(「GR 34/2021」)で規制されています。この規則では、外国人労働者を雇用するすべての企業がRPTKAという、外国人労働者の採用の目的を明確化し、特定の業務内容や期間において契約が政府から承認許可を得なければならないことが規定されています。

    具体的に、以下がGR 34/2021で規定されている外国人労働者の利用期間に関する規定です。

    1. 最長6ヶ月の臨時雇用のRPTKAは延長できない;
    2. 6ヶ月以上の雇用に対するRPTKAは最長2年間与えられ、延長の可能性もある;
    3. 無報酬外国人労働者活用プラン(RPTKA Non-DKPTKA)は最長2年間付与され、延長の可能性もある;
    4. 経済特区のRPTKA(RPTKA KEK)は最長5年間で、延長の可能性がある。ただし、取締役や執行役員などの役職でのRPTKA KEKの認可は1回のみであり、当該外国人労働者がその地位を占める限り有効である。

     

    さらに、外国人労働者は永久雇用資格を取得することが禁じられており、外国人労働者の同国での滞在には、指定された契約条件に基づくものであり、無期雇用や永久雇用の機会は提供されないという点が強調されています。

    一般的に日本での日系企業では、正社員として長期的な勤務が重視されていますが、インドネシアでは永久雇用は法律に抵触するため注意が必要です。

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  3. 契約解除時の支払義務

    契約社員、人材派遣、労働時間、解雇などに関する2021年政府規則第35号(「GR 35/2021」)では、外国人労働者の権利とインドネシア人労働者の権利の違いを定めています。

    GR35/2021 第 15 条(5)では、有期雇用契約 に従事する外国人労働者は、在職期間終了時に補償金(「補償給」と呼ばれる)を受け取る権利はないと規定されています。補償金は、PKWT 協定に基づきインドネシア人労働者のみに付与されています。

    しかしながら、雇用法第 62 条に従い、企業が PKWT終了前に外国人労働者の雇用を早期終了した場合、企業は外国人労働者に補償(「uang ganti rugi」と呼ばれる)を提供する義務があります。この補償は、GR 35/2021の第15条(5)に明記されているように、在職期間終了時に付与される補償(「uang kompensasi」と呼ばれる)とは区別されています。

  4. 禁止された職種

    インドネシア国内での労働力を確保するため、政府は、外国人労働者がインドネシアで業務を遂行する際、人事管理職に就くことを禁止しています。

    特定の役職に就くことの禁止に関して、雇用法第42条(6)で言及されている別の政府規則では人事的な役割にとどまらず、他の役職も含まれています。これらの制限を守らなかった場合、行政処分等を受ける可能性があるため、雇用主は注意を払い、遵守を徹底する必要があります。

    新雇用法の制定後、外国人労働者の雇用を含め、インドネシアにおける従業員関連事項はすべて新規定に従わなければならなくなり、従前の規定はすでに無効となっています。

    インドネシアにおける合法的な雇用プロセスを確保するためには、関係者全員がこれらの法的状況を包括的に理解し、厳守することが不可欠です。

    ADCO法律事務所では、外国人労働者雇用規制に関する総合的な見識と専門的知見を有した弁護士を擁しております。

    お困りの際には、お気軽にお問い合わせくださいませ。

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ADCO法律事務所は、日本との「戦略的パートナー」としての友好関係構築というインドネシア政府の目標に貢献するインドネシアの法律事務所です。

また、産官学で連携をとり、グローバル経済の構築に向けて法的な支援を通じて、より多くの問題解決に貢献します。現在、日系企業様向けの担当者として、インドネシアでの事業経験が豊富な日本人が現地に常駐しています。

さらに、1979年に設立された95カ国にメンバーファームを擁する世界最大、かつ、現在最も急速に成長し注目されているグローバルアライアンスであるAlliot Global Alliance(AGA)に所属しておりグローバルなネットワークを保持しています。

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